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 今年も「放生会」を行います。
 
【宥善語録】
 今日一日。今に感謝。
ありがたい、ありがたい。「ありがたいと思う心」がありがたい。ありがたいと思える心、それ以上のものがあると思うなよ。



「放生会(ほうじょうえ)」
〇放生…
放し生かす。捕らえられた生き物を放して生かすこと。功徳(くどく)を積むために生き物を逃がしてやること。慈悲ある生活を送るための実践、行い。殺生の罪を償うために行う。

〇方丈…住職さん。一丈四方のこと。丈とは長さの単位であり、十尺が一丈。一丈は3・03m。四畳半の部屋を指す。インドの維摩居士(ゆいまこじ)の居室が方丈であったという故事から、寺院の長老や本堂の部屋の大きさに使われた。鎌倉時代、鴨長明『方丈記』。

〇法城…仏教の教え(法)がゆらいだり、簡単に壊れ崩れることがないものであること。そして様々な悪い行いや魔を防ぐことから法の城と譬える。

〇豊穣…穀物や作物が豊かに実ること。例:五穀豊穣。

 ホウジョウという同音語を挙げてみると仏教に関わる言葉がこんなにも多い。
その他、宝杖・芳情・褒状・法帖・鳳城・北条など。コロナウィルス禍による緊急事態宣言下、少し落ち着いて大きな辞書を開いてみるのも楽しいかもしれない。
わたしは四書の一つ、『中庸』を時間あれば読んでみたいと思う。儒教における基本経典『礼記(らいき)』のなかに「大学」「中庸」…とあるが、大学は読んだが、恥ずかしながら中庸を読んだことが無い。福山市には誠之館という学校(藩校)があるが、『中庸』「誠ハ天ノ道ナリ、之ヲ誠ニスルハ人ノ道ナリ」から命名されている。

 オットー・フォン・ビスマルク「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」。物事は繰り返しのなかで廻っている。教養は己を守るものとなるのだから、良書を選んで、自国の歴史や思想を学んだ方が良い。また漢文が読めないと困るので、子や孫には国語の大切さをよくよく教えたい。文字を無くした国の人々は先祖の過去の歴史が読めない。これは気の毒なことである。いまどき、野菜でも産地が必ず示してあるのに、自分の産地も語れずして誰が買ってくれるのだろうか。

 さて繰りかえすことは仏教「輪廻(りんね)」の教えが示してくれている。すべての生命は生死をくりかえし、生まれ変わり、生まれ変わりをしているのだ。自分の前世が気になる人は多いが、来世を気にする人は少ない。今月は宥善語録に今をありがたく思いなさいというものを出したが、野菜を植えるにも時節を考えるように、いま私は何をしないといけないのかと人生考えることも必要である。

 放生会では魚やミミズ、釣りの餌にされる生き物や、スーパーで売られる貝などを買い取って、お経を聴かせるなどしてから安全な場所に逃がしてやる。そうすることで彼等の業(ごう/カルマ)を浄め、来世はより良い(善道)生まれ変わりをするよう働きかけるのである。また慈悲の行いは、自身の殺生の罪を少しでも浄めてくれる。放生会は大人も子供もみんながそろって行えるのでありがたい。また子供の教育にも非常によい。生き物を大切にする。すなわち自分を大切にすることを知るものである。

              令和三年五月二十一日


20日(日)「放生会」 10時~12時 
  ※今回の放生会では海に放すことのできる生き物を持ち寄りください。

21日(月)「お大師さま御縁日」 ①10時 ②20時
   写経奉納。祈願護摩木。先祖供養塔婆。
  ※密を避ける為、午前と夜に護摩を焚きます。

   身心を調えて、生活いたしましょう!



   令和3年5月21日 南無大師遍照金剛ありがとうございます。     


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