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 「 あなたの願いが叶わないのは・・・ 」
 
 この主題を聴いて大先生の顔が浮かべば、
もうすっかり弘元寺の教えに親しまれている方かと思います。
続く言葉は、

「誰か、赦(ゆる)せていない人がいるからです。
 許せていない人が誰か一人でもいる限り、
 あなたが本当に望む願いは叶いません。」

 先日ある天台宗のお坊さんからこんな話を聴きました。

「六親和せずして三宝(さんぽう)の加護(かご)なし。」
親兄弟が仲良くしていないで、どうして仏さんがあなたを守ってくれるでしょうか。
もっとも大切にしなければならない親兄弟(家族)が喧嘩や争いをしていて、
どうして、あなただけ一人を助け導いてくれるでしょうか。自分の願いも大切ですが、
家族の願い、幸せになりたい気持ちも同じように大切なのです。
どちらも救うのが仏さまの教えですし、命あるものは皆平等に尊い。
自分だけがよくなりたいなどと考えていては
仏さまもそりゃあ呆れてしまいますという今月のお話でした。

 おさらいと言いますか、三宝とは「仏・法・僧」のことですね。仏教徒の常識です。
三宝は仏教の根幹となるものです。これを敬わずして、神仏の加護というのはありません。

如来・菩薩(仏)、
仏さまの真理の教え(法)、
仏の教えを守り、修行する出家者たち(僧)。

この三宝を大切にして、教えを聴き、実践をして、
仏の心・願いを知っていくことが大切です。

 さて、私は恐ろしいなと思うことがあります。
それは、怒る、恨む、憎むといった負の感情のエネルギーです。
例えば、強い恨みや怒りを持ちながらいま息が止まり、死に、あの世に戻っていったとしましょう。
そうすると、あなたは次に生まれ変わるまでの間、仏の説法や、修行を積んだお坊さんのお経などに遇えない限りは、次の世までずっと怒りの感情に支配され、しかもこの人間として生きた時間よりも長い時間をその怒りの中で過ごさなければならなくなってしまうことがある。
それはとても恐ろしいことです。
しかし重ねてまた恐ろしいのは、またこの世に生まれてくるまではその怒り憎しみを覚えていても、お母さんの産道を通るときにはその思いを忘れてしまうことです。表面的には覚えていないが、その怒りや憎しみの感情を内に秘めている状態です。そうやって何に腹が立つのかも分からず一生を過ごしてしまう。自分が何に怒っていて、何に腹が立つのか分からないのだけれど、とにかくずっと攻撃的でイライラする。こうなると無意識的に前世の敵である相手を害することもありますし、それに伴って刑事事件になることもあります。不慮の事故を装って相手を殺める、また殺められてしまうこともあります。いずれにしても、お互いに救われることのない負のサークルを抜け出すことができない状況に陥るわけです。
また供養をしていない水子の霊が寂しさや、うらやましさをもって、そういったものを引き寄せている場合もありますが、私が最も恐ろしいと思うのは何百年もずっと怒り続ける、恨み続ける、そんな魂の状態を継続すること。またそれを目の当たりにすることです。

 ちなみに私の家の家訓は、もし喧嘩したり腹が立つことがあったとしても、
必ず翌日には変わらず「おはよう」と挨拶をすること。昨日のことを翌日まで持ち越さないことです。
それがどうでしょう。対しては何百年も同じことをずっと思い、恨み続けるなんて。そんなこの上極まりない苦しみがあるでしょうか。変化ができないのも一つの「苦」です。一日、一日過ごすなかでも、自分の心は常に変化してるものなのです。よい気持ちを持って、ステキな変化の中で過ごしたいものですよね。

 心の内に何処と無く「怒り」を抱え持っている方、これは、何かを他人のせいにしている間にはその苦しみから抜け出すことはできません。例えそれが明らかに相手に非があったと見えることにしてもです。それはもしかすると前世において自分が同じように相手を傷つけている場合だってありえるのです。

 とにかくお互いに幸せになる、なれる道を望んで生きていない限りは解決しません。勿論、幸せの押し付けは論外ですが。

 仏さまの願われる心、「慈悲の心」に見習うべきです。仏さまの心を賛嘆し、喜びましょう。
そして自己反省しかありません。ただそれも自虐的になるのでは無く、もっともっと自分はよい心になれるのに、それをしようとはしない自分への反省です。

苦しみを受けるのも、もとを辿れば必ず自分に原因の一端があります。
逆に言えば、幸せを受けるのももとを辿れば自分の原因による。
これに気付き、仏さまの前で
反省懺悔の修行をしながら、善い行い、善い心をどんどん働かせましょう。

お大師さまの心に習い、言葉、行動、そして自分がいま正しい心で生きているのか
どうか考えて、気持ちよく今日を生かせていただきましょう。


   平成27年2月21日 南無大師遍照金剛ありがとうございます。     


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