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 21年ぶりの御開帳を終えて 
 
 秘佛の弘法大師さまの御開帳という機会をいただき、弘元寺のお大師さまからの願いでありました「地域の皆さまへの恩返し」を心より勤めさせていただきました。百年の月日に弘元寺を支えくださり、戦時中に当時の宥善が衛生兵として出征していた間も、お大師さまの給仕を村の皆さまが勤めくださっていました。ありがたいことです。
 京都仁和寺に遡れば、鎌倉時代より沢山の合掌、祈りを預かり来られたお大師さま。箕島のお大師さまにお願いすれば、どうにかしてくださる、助けてくださると今日まで沢山のご利益をいただけるのも、お大師さまの御入定の誓願・修行の力と、皆さまより絶えぬ祈りと供養を預かり来たお陰と存じます。

 また、21 年前の本堂落慶の折も御簾越しの御扉開けでしたから、村の80代の方でさえ、秘仏のお大師さまのお姿を見たのは初めてのことと伺いました。つまり、この度の御開帳は実質百年ぶりであったようでした。
 次の機会は25 年先のこととなりましょうが、この尊いご縁が みなさまの魂(アラヤ識)に深く刻まれております。もしも25 年後に寿命尽きていようと、死後の世界や来世においても、またこの深い佛縁にいざなわれて、善き道のなか(生まれ変わりの世において)、再び尊い佛縁を結ばれる善因となるでしょう。

 全てには原因があります。過去世があるから、現世があり、現世の行い(業(ごう) カルマ)が来世を作るのです。最近は、子は親を選べないという言葉が蔓延していますが、そうではありません。親と子の「過去世の業が磁石のように引き合い」、または善根功徳の具(そな)わった子が特に願って親の元に生まれてきます。悲しいことに過去世の恨み辛みが引き合って親子となる場合も見受けられます。
そのような場合には、、またそれに限らずですが、業が浄化されるように、懺悔をするなり、供養に努めるなり、線香や灯明を供え、写経や経典を読むなり、自分に出来ることをやりながら、自分にとって足らぬものが何であるのか、気付けられるようになる所から 始めなければなりません。 状況がちっとも良くならない方というのはまず間違いなく問題をすべて他者のせいにしてしまいがちです。問題の所在は全て相手にあるのでは無い。それを惹きつける自分の業があってこそ問題は表面化し、成立するのです。一方だけで物事は成立しません。ゆえに相手をどうにかすることばかりを考えるのではなく、それ以上にまず自分が何に気付けるのか、自分は何に気付き、何を気付けていないのか。 その気付きの如何(いかん)に従って、問題の状況が変化する、その理(ことわり)を知りましょう。その上で、どのような言葉を使い、どのような行動をするのかが重要です。

 言葉も、行動も、思い(心)も、大きな力(エネルギー)を持っています。だから言葉が大切なのです。小さな一つの思いも行動も大切にしましょう。それによってようやく、現状も、未来も実際に変化をするのです。荒れた自身の畑(心)に生い茂る雑草を抜き、美しく耕し、善い種を蒔くことです。善い(行い、言葉、思いの)種を蒔かなければ実りも収穫も出来無いのですから。不平不満の言葉の種は蒔かず、良い種を蒔きましょう。

 どんなに良いことがあっても、悪いことがあったとしても、時間は流れていて、自分は生きていて、ご飯を食べなきゃいけないし、トイレにも行かなければならないのです。ずっと時間は流れているから、諸行無常なのです。良い変化をしていけるように、自分の心に向き合いましょう。他人ばかり観てはいけないのです。弘法大師さまも言われます、さとりは遠くにある言葉や物ではないのです、常にわたしの内にあるものなのですと。

「仏法遥かにあらず、心中にしてすなわち近し、真如外にあらず、身を棄てていづくんか求めん」。 後文を解説すれば、真実はいつも内側にあるのです。だから自分を大切にしなさい。自分をきちんと大切にしなさい。そのようにしてよく自身を観察することで、すべては自分の内側にあることに気付けるのです。宇宙も時間も空間も悟り佛様もすべて自分の内側にあるのです。すべては縁起し、繋がって真理平等なのだから、同時にあなたの尊さにも気付かねばなりません。 尊いあなたは、自分のため、しかのみならず他者のためにも、自身が悟らなければならない重要な課題をもってこの世に生を受けていることに目覚めなければなりません。 ひとりでも、不都合をただ他人のせいと押しつけることなく、自分自身が目覚め、成長し、自他共に良くなっていけるように、心と言葉と行動を浄めていかなければなりません。


令和六年十月二十一日


「修行(お祈り) ご案内 」
10月21日~26日「七日祈祷」朝5時~
26日(土)「大黒天 浴餅供」22時~
10月27日(日)「晋山式」9時~9時30分 
        「柴燈大護摩供 火渡り修行」11時
11月1日(金)「辯才天 護摩」20時~
3日(日)「火渡り大祭 由加神社」13時~
10日(日)「炎の祭典」広島廿日市 12時~
  場所 泉光寺 護摩堂前 (小瀬川温泉)
4日(月)「滝修行」朝5時 お寺出発
        「水子供養/地蔵護摩」10時
21日(木)「弘法大師 縁日護摩」10時、20時


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   令和6年10月21日 南無大師遍照金剛ありがとうございます。     


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