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 「布施について④」 PDFはこちらから
   布施(Dāna)とは何か。今月はキーワードのようにして列挙してみましょう。

施し恵む。無貪の心。
三施*1。

無財の七施*2。
四摂法*3、六念処(六随念)*4、六波羅蜜*5の一。
体、財、生命によって法(真理)に奉仕する。
仏、僧、貧窮の人に衣食などを施す。
菩薩、大乗佛教修行の初行、必須項目。功德は広大。
慈しみの心をもって普く他に施すこと。
欲を浄める。業を浄める。
上・中・下品の違いあり。
お寺や僧侶に供養するは自分の為となり、衆生に施し与えるは他者の為となり、布施して与えるは自他の為となる。
必要とするものを与えなさい。
要求に随って救い、導き、苦を取り除くを随應施という。

 布施をすると善い果報を得て天界に生まれ変わる。
死ぬ時に憂いが無くなる。
僧及び貧窮の人らに広く布施すれば大きな果報と名称を得る(『増一阿含経』)。

 対価として支払うものを布施とは言わない。
布施は福田となる。
自分のため、他人のため、自他のために行え。
最も価値ある布施を三輪清浄*6という。仏は身命を惜しまず布施をおこなう。

 法施は財施に勝るものなり。
法施に世間と出世間の二種あり*7。
人界・天界(神の世界)の善果(楽果)は得たとしても退滅有るが、法施により涅槃を得れば減退しない。
法施は三界(欲界・色界・無色界)を越え、財施の果福は欲界に限られる。
法施は法身を浄める。
法施は無明を断ずる。

 在家の菩薩は財と法の二種をもって布施の修行とし、出家の菩薩は筆と墨と経と説法の四施を修行し、生滅を越えた深い空の理解がある無生忍を得た菩薩は施と大施と無上施の三施を具足する。

 密教では印と真言(印明)をもって一切衆生の為に種々の寶を雨らして、求める所を満足させることをもって布施とする。宝生仏、宝幢三昧耶をいう。

 弥勒よ、財宝や楽しみによって人は生、老、病、死、憂、悲、苦、悩から離れることは出来ない。弥勒よ、ただ正法だけがそれらを離れさせる利益となる。これを如来の微密の法(微妙秘密法=深遠の意)と言う。すなわち如来は世間の楽を施さず、出世間の無上の法という宝を与えるのだ。そして衆生はそれを聞き終わって完全に苦から離れるのである。
故に弥勒よ、まさに如来の無上の法施を学びなさい。生活の助けになる世間の施しを重んじるべきではない(『宝積経』)*8。

 その他、経典には様々な布施の種類が説かれ、更にどのような立場で、何を目的としているのかで視点を変え説明しています。
目覚めのヒントを与えれば世間と出世間、輪廻についてよくよく学ぶこと。
そして知らない国のことを自分だけでいくら考えても想像が付かない。まず佛菩薩や僧侶に尋ねるのが近道です。そうすれば深い気付きは必ず得られます。

令和五年七月二十一日

*1 財施、法施、無畏施のこと。この三つは六波羅蜜に対応し配当され、六波羅蜜の実践となる。
*2 眼施、和顔施、言辞施、身施、心施、床座施、房舍施のこと。
*3 布施dāna。愛語piya-vācā。利行attha-cariyā。同事samānattatā。
*4 念仏、念法、念僧、念戒、念施(捨)、念天のこと。この六の随念を修習すれば法は増長し、退減せず。
*5 布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧のこと。 また十波羅蜜は上座部と大乗にて違いがある。
*6 三輪とは自想、他想、施想のこと。この行為と結果に執着しないことを清浄という。これは空の教え、智慧と悟りの概念を伴った布施の在り方を示している。
*7 世間=不浄観、持息念、四静慮(色界における禅定)、四無量(慈悲喜捨)、四無色定(物質の束縛から離れ、滅した境地)、五神通(神足通(自在)、天眼通(未来予知)、天耳通(一切の音を聞く力)、 他心通(考えていることを知る力)、宿命通(過去世を知る力))などの法を演説する。
出世間=三十七菩提分法、三解脱門などの聖法を演説すること。
*8 この経典では一転して菩薩による財施の否定が書かれるが、この経典成立の当時、釈尊の実践された「森林と激しい苦行の実践に帰れ」というブッダの本来の理念に戻ろうとする機運が影響すると指摘される。




《ご修行案内》
30日(日)「無病息災の瓜封じ秘法(胡瓜加持)」
6日(日)「滝修行」朝5時お寺出発
     「水子供養・護摩」10時~
21日(水)「大師御縁日 護摩」10時~、20時~

※お盆参り希望の方はお早めに申し込みを

「ご報告と御礼」
・アメリカ人修行者の賢明さんが、無事に最後の儀式(伝法潅頂)を終えました。沢山のお支えをいただきました。ありがとうございました。以後、都度にご報告させていただきます。
・二人目の外国人修行者は、得度式を経て、少しの修行をしての一時帰国となりました。
・結縁潅頂では、やはり不思議なことに入壇者の意と機に適うご縁を皆結ばれていらっしゃいました。受戒の功徳と諸佛の加持を感じました。  合掌


   
   令和5年7月21日 南無大師遍照金剛ありがとうございます。     


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