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 「布施について③」
 
 仏さまにお供え物をすると良いことが起きます。仏さまが喜んでくださるからです。では何故喜んでくださるのでしょう。あなたの身心、業(カルマ)が浄らかになるからです。仏さまはいつでもあなたの成長を喜んでくださっています。
人間みたいに相手の成功をうらやんだり、ましてや誹謗中傷、足を引っ張ることなどしません。自分が頑張れないからといって、頑張っている人を自分より下に貶めるという行為を目にすることがありますが、それは人間として恥ずかしいことです。そして他人を不幸にするような行いをすれば、未来に必ず悪い報いを受けますから、よした方が良い。

 如来・菩薩さまにあなたが一つのお供え物をすると、不思議なことに供えた1は無限に広がっていきます。この現象は受け取る側の存在、力が無上であるから起こります。お供えをする相手(仏さま)と供物を心より捧げてみれば、この感覚はきっと分かるはずです。

 どうしようも無い者にお金を渡すとどうなるか。労せず得たものは棚からぼた餅というやつで、ただの浪費に終わりがち。もっと悪ければ、貰って当然だと主張して、自分が相手にお返しすることを一ミリも思いません。不幸者です。こうなると貪欲、傲慢さ、怒りの煩悩にどんどん支配されてきます。供養(布施)の心が無い。
衝動(煩悩)に支配されない力、素直に喜べる、感謝できる、自分を磨こうとする謙虚さ、相対する者を尊ぶ所作、吸って息を一つ吐く心の余裕を持つなど、こういった仏道の心がけを持っている人であっても、なかなか自他を「生かす(大欲)」という本質が分からない中、人間の内側にあるドス黒いもの(小欲)だけに支配されている者は他人はもちろん、自分の生かし方、ご機嫌の取り方の分かる日などは来ないでしょう。
受け取ったモノを生かす。いただいた生命を活かす(恩返し)。静かに座り、己を見つめ、ゆっくりと考えてみてはどうでしょうか。お寺では「まず懺悔からはじめましょう」と教えます。

 さて、お供え物をして良いことが起きるのは喜んでくださる結果とは申しましたが、仏さまというのは我々凡人のギブ&テイクのような考えでは無い。
「あなたがしてくれたからやってあげます」というような浅ましい考えなどは疾っくに超越されています。無限である故に。
ギブ&テイクは有限の世界に住む人間界や天界(神さま方)の概念です。人間に比べれば神さまのお力・存在は偉大なものですが、神と仏の違いは「悟っているか、いないか」で区別されます。
神さまは自我があり、気に入らないことがあれば自分の感情で怒ります。対して仏さまは相手の立場にそのまま立ち、我がこととして迷った者の最善の道しるべを考え対応されます。
逆を言うと、もしあなたが度の過ぎた、自分の器には收まらないようなお願いごとをしたならば、仏さまは叶えてくれません。あなたが「位負け・果報負け」するからです。 その点、神さま(天部)はこちらの器に関係なく、やることをやれば、供えるものを供えれば、授けてくださる所があるので効果、結果が出るのが早い。

 ただ物に質量があるように、お金、寿命、願いごとも質量に似た性質があります。あなたが十分に福徳を積んだ人であれば、その器も大きいので、それに見合ったものの入る用意ができています。あとは時期(タイミング)だけ。
対して福徳が無い、いわゆる薄徳の者に不相応な果報(過大なご利益)が舞い込めば、最悪その人の小さな器はバラバラに壊れてしまうことがある。またそれが自分に起きればまだ良いのですが、家族に及ぶとなれば最悪です。分相応を考える、こういった考えが世の中に消えつつあるのは、現代人が自分(生命)を見つめる時間を忘れた結果でもあるでしょう。

 また福禄寿のバランスが崩れて皺寄せが起きる(他のものが削られる)ということもあります。古来より福(血の繋がった子孫に恵まれること)、禄(お金と地位)、寿(寿命)といいます。
福の語源は神の恵み豊かなこと。子孫を指すのは福を運んでくれる最たる存在の故。自分の生きている間の福と、死後も(生まれ変わるまで)祭祀して貰える福と、自分があの世でも子孫の喜びに合える福も意味します。孤独とは反対にある形です。 つながること、継続できることの価値を知らない人が多いと思います。いま自分の生命は永い時間と果てしない空間のつながりのなかで成り立っています。安易な墓終いが進んでいることは残念なことです。子孫がいる方はもっと信じるべきでしょう。そして「信じる」の深い意味は信仰からしか得られないでしょう。手を合わせることに力が有るとはこういったこと。自分の一生だけに收まらない果報を得られることにあるのだと思います。 来月に続く。

         令和五年六月二十一日

《7月ご修行案内》
30日(金)「結縁潅頂(金剛界)」
1日(土)「結縁潅頂(金剛界)」
2日(日)「水子さま結縁潅頂(水子供養)」9時~
  ・小学校2~6年生限定(結縁潅頂へ入壇可 二千円)
4日(火)「大黒天」23時より。一時千座法。
10日(日)「弁財天 護摩」20時
16日(日)「霊峰 石鎚山入峯修行」
21日(水)「大師御縁日 護摩」10時~、20時~
30日(日)「無病息災の うり封じ(胡瓜加持)」
以上、詳しくはホームページや貼紙にて確認ください


   
   令和5年6月21日 南無大師遍照金剛ありがとうございます。     


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