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 喜びにつながる精進をすること
 
 私は努力が好きです。オリンピックも昨日で終わり。91カ国2,900人の努力の結果が披露されました。誰かの人生に共感できることはとても尊いことに思います。もっと多くの人間や自然、動物と出会いたいし、きよらかな祈り、命と時間を共有したいと思うものです。

 人間の知能発達はコミュニティ、社会生活の諸様から起こったという研究があります。距離という物理的な隔てを取り除いてきた科学技術の発展は、私たち人間を今後どのように進化させていくのでしょうか。一方で新型コロナウィルス拡散の作用は、そのほとんどが分断という結果を生んだのではないでしょうか。ここで科学とウィルスの違いを考えてみると、その差というのはコントロールができるかどうかではないでしょうか。言い換えれば、ウィルスも人間の言葉やその延長線上の何かで対話が出来るようになるならば善い作用に変えることが出来ただろうし、科学も人間の手に負えなくなれば忽ちに最悪の事態を招くものへと変わるでしょう。

 さて、努力という言葉が好きな人もいれば、ゾッとする人もいるもので、人間の感じようというのは千差万別だと思います。その差を考えてみると、努力はただ苦しいことであるのか、自分が望む目的を達成するための手段・段階としてのものなのか、いや坦々と一つのことをするのが好きなんだという方もあるでしょう。もっとシンプルに違いを付けるならば、ずっと苦しい努力なのか、目的地には楽しい・喜びのあるものなのか、点々として楽しい嬉しいがあるものなのか。そういった個々人の、努力との付き合い方の諸様があるように思います。

 佛教には「精進」という言葉があるが、これはもともと「八正道」という八つの正しい道(修行の行程)の一つであり、正しく精進することを言っています。佛教は苦しい道から離れるために、ただしく頑張りなさいと教えているのです。だから私の言う努力も、苦しいが目的地ではありませんし、苦しむための努力でもない。喜びを増やすための精進であって、そういった努力は必要だとお伝えしたい。

 ただ、悲しいかな人間は一番初めに掲げた自分の言葉を忘れてしまう生き物のようです。一方で最初に掲げた言葉を忘れない人間は自分が思い描いたままの結果とはならなくとも、必ず何かを掴み得るものです。9才の自分を語っていたフィギュア羽生選手も最初の言葉・想いをずっと大切にしているタイプだ。「自分の天命に気づける人ほど幸いなものはない」と私は思います。これはある古い行者さんが昔、私にかけてくれた言葉でもある。
「泰教さんは幸せじゃと思います。早くから自分の道、天命を知っとられるからスタートが早い。道を知っていれば後は真っ直ぐ進めば良いだけでしょう。それは楽ですわ。私も早く自分の天命に気づけていたらと思うこともあるし、こんなに道に迷うこともなかったでしょう。 まぁ神佛を祈ることを教えてもらっていたから、大きく道を外れ迷うことが無かったのは幸いなことでした。」と。

 天命、宿命、自分が過去世から定めた道、決心してきた道に早く乗ることは大切だと思います。ただし一方で前世からの悪い行為の積み重ねから、善業よりも、悪業が塗り重なっている場合には自分の道(本質)が見えにくいことがある。その場合には、あらゆる行為を諸仏の御前で懺悔した時にその業は消えていく。また利他や布施の心が私の本質を輝かせていきますし、善の行いが私の煩悩を良く調整されたものへと磨き上げてくれる。

 正しい考え、正しい努力のイメージをしましょう。八正道もむつかしいことを言って無く、気付くとあたりまえの事ばかりです。自分自身の言い放つ言葉・行動と、内側にある燃えさかる炎とも言える煩悩のコントロールが正しく制御・完成されていくと、関わりあう世界(外的環境)も次第と変化していくのが自然の法則です。まずは自分から。自分の在り方から変えていきましょう。

 また変化するという一大事は、青虫がサナギへ蝶へと変わるが如く、とても不安定な状態であるものです。サナギの状態は外敵から身を守ることや逃げることもできません。でもそれを越えたら美しく変化を遂げるものなのです。不安のさなかは変わるチャンスです。そしてあなたは孤独なサナギではありません。神佛先祖さまから守られているから後ほんのちょっとなのです。初心を忘れず、コツコツと。墓にも参り、正精進で参りましょう。

令和四年二月二十一日


《ご修行案内》
27日(日) 府中 十輪院「柴燈護摩・火渡り」
28日(月)「三宝荒神供」20時
3月6日(日)「水子供養・地蔵護摩」 10時
11日(金)「大黒天 一時千座法」23時
17日(木)「弁才天 護摩」 20時
21日(金)「お大師さま御縁日。お護摩。」
  ①10時 ②20時 どちらかにお詣りください
 写経奉納。祈願護摩木。先祖供養塔婆。
27日(日)「得度式」 10時


   令和4年2月21日 南無大師遍照金剛ありがとうございます。     


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