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「放生会のご報告」と人間の完成まで・・・ | ||
合掌 放生会の善行の功徳を一切衆生に廻向する。 弟子某甲 尽未来際 不殺生~(殺生しません) と十善戒で唱えるが・・・ 生きていると、他の命をどうしても殺めるし、食事でも沢山の命をいただいている。 そして歩けばアリさんを始め小さな虫を踏みつけている。それに気付くこともあれば気付かないこともしばしば。車に乗れば小さな虫の命を沢山奪っていることを知るし、蚊がいればポンとたたく。蚊取り線香を焚けば知らない所でも蚊はどんどんと地面に落ちていく。 また子供が危ないからとムカデの侵入除け剤を置けばムカデや甲殻類の生き物たちも一緒に殺している。小さな命も、命であるから、「申し訳ない」と手を合わせたい。 虫の命も大事にする者が人の命を取るだろうか。そのようなことは無い。 自分の命を大切にする教育は、他の命を大切にする所から始めるのが大切である。また葬儀をきちんとやっていれば、自分の命の重さ、尊さに段々と気付くものである。葬式の無い(祈りの無い)火葬は、ゴミを出す工程と一緒である。長く使った筆や包丁、オモチャにも、「ありがとうございました」とそのお役目を感謝し祈るのである。 このように感謝、お詫び、願い、供養…と「祈れる者」は日々自分の生きる世界の中で、さまざまなことに気付くのであります。 これは心が行き届いているから気付くのです。心の行き届かない生活をしていると分からないことです。本当に「祈る心」を知って「心の行き届く人間になること」が生命としての完成になると私は思います。 ところで人間の体にどれくらいの細菌やウィルスがいるか知っていますか? ちなみにどちらも肉眼では見えません。 人間の細胞の大きさは6~25マイクロメートル(0.006~0.025mm)です。 細菌もマイクロメートルという大きさで、 ウィルスは更に千分の一のナノメートルという大きさ。とっても小さい。 ヤクルトなどに入っている善玉菌、乳酸菌は1マイクロメートル程の大きさのようです。 人間の小さな細胞の6分の1サイズですね。 興味があれば「細菌の大きさ比較」でインターネット検索してみてください。 そして自分で増殖できるのが細菌。自分で増えることができないのがウィルスです。 数はどうなの?となると諸説あって、現在も研究が進んでいる所ですが、人間の細胞は成人で30兆~60兆と言われています。対して人体に存在する細菌は40兆~100兆。 ウィルスは普通の人でも血液・脳・心臓・大腸・筋肉などに少なくとも39種類がひそんでいることが分かっているようです。 一体全体「彼ら」は何をしているのだろうか!? と私は非常に気になる。 ただし、私は今「彼ら」と細菌やウィルスのことを呼びましたが、 腸内細菌(微生物たち)の如何で人の性格に影響が出るという研究もあるのだから、 これは自分の意識と思っているものが、 実はお腹の細菌たちの具合によるという可能性も否定できない。 また昔の日本人が、病気はお腹や体にいる虫が原因であると考えたのも、あながち遠くないのかもしれません。明智光秀の生きた頃に書かれた『針聞書』には何とも目を引く虫が描かれていて、見てみると面白いですよ。 日頃、私たちが区別しているもの、自分とは関係無いと思っている存在が、 実は自分の性格や健康、寿命に関係しているならば、 それは私と離れた別の存在なのでしょうか。 私はそうは思いません。 私の体に住む微生物たちも、また細胞たちも日々生滅を繰りかえしていることでしょう。やはり人体はひとつの宇宙のような存在。 ウィルスが生物か非生物かという議論もあるが、仏教では流行病を引き起こす見えないモノを流行神(るぎょうじん)と呼び、密教ではソレ自身が幸いとなり、人々を脅かさないモノへとなるように(鎮静)とずっと祈って来ました。 仏教は「有情・非情」と存在するもの、心の働きのあるものと無いものと分けて考えますが、 総ては縁によって共にあるものと考えます。 縁を観るから共生を考える。 生きていると知るから供養の心が起きる。 放生会では殺される生き物にお経を聴かせて、逃がしてやります。 次の生まれ変わりが善い世界(道)となりますようにと。 昨日はエビや貝たちを海に放し終わると 雲が虹色になる美しい彩雲が30秒ほど現れました。 生き物たちがありがとうと知らせてくれているようでした。 縁を観る仏教の心とは人間完成の道なのです。 令和三年六月二十一日 《七月 ご修行案内》 3日(土)「毘沙門天」 朝5時半 4日(日)「滝修行」 お寺5時出発 「水子供養・地蔵護摩」 10時 14日(土)「大黒天」 23時 17日(土)「霊峰 石鎚山 登拝修行」 ※本山極楽寺に現地集合 7:30 詳しくは別紙にて 20日(火)「弁才天護摩」 20時 21日(水)「お大師さま御縁日」 ①10時 ②20時 写経奉納。祈願護摩木。先祖供養塔婆。 28日(水)「うり封じ(胡瓜加持)」 10時・15時・20時と三度護摩を焚きます。 祈祷キュウリを受け取り、壇巡りしてください。 ※27日晩に祈祷をしますので、申込は7月26日までにお願いします。 祈祷のみの申込も可能です。詳しくは別紙にて |
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令和3年6月21日 南無大師遍照金剛ありがとうございます。 |