過去の法話へ
 すべては私。私はあなた。あなたは私。
 
 すべては繋がっているのに、、自分のことだけを考えて生きるなんてもったいない。せっかく転んだのに、何も掴まずに起き上がるなんてもったいない。せっかく病気になったのに、今まで自分がどのように生きてきたのかを振り返らないなんてもったいない。
 こう考えると、私は結構な貧乏性なのかもしれない。そう思うことが多々あります。もったいない と心の内でポツリと呟く。寝ていても、あぁこの時間も○○ができるのになぁとか。言い方を変えれば、やりたいことが多いのかもしれません。そうすると私は貪欲で欲張りな人間なのかもしれない。
 転んでも、草の一つでも握って起きる。ただでは起きないのが○○さんだよね。そんなふうに言われるようになれたら、実は嬉しい。

 生老病死。老いても、病気をしても、死の間際になっても、死を迎えても。私たちは必ず何かを学んでいるんです。学ぶ姿勢を常に持っている方が良い。 それに学んだほうがお得であるし、合理的です。 死後に、次の世、来世があり、生まれ変わりがある。
それならば来世がより良くなる為にも、自分の死に際にも学びや喜びのある方がよい。一生で最高の感謝を捧げ、あの世に往きたいものです。病気にならなきゃ分からないこともあるし、死を迎えななきゃ分からないこともある。
身近な経験でも、聞いて知ってはいたものの…我が身がそうなって初めて分かった…というのでは、ちょっと残念なこともある。私たちは他人様からしか学べない。他人様はとっても大切なんですよね。自分と同じように大切なんです。そもそも他人をただの他人と思っているうちは、
佛の覚りからは ほど遠いというものでしょう。

 先日、鬼滅の刃ブームもあってか、テレビ番組で剣士の達人は目隠しをしても気配だけでスイカが割れるのかと。この冬場に放送していました。目を引いたのは、「迎え入れ」という儀式。
スイカと自分の境目を無くす。相手と私という境目を無くして、一体になるというもの。普通に見ると異様です。アナウンスも「ここまで来てしまったら私たちももう引き返せません。」と面白可笑しくいうものです。ひとつになってしまえば、スイカを探すのではなく、私を探すことになります。

 この感覚は非常によく分かります。密教の修行者は佛と一体になり、すべての存在(衆生)とも平等の境地に入ります。そうすると佛のなかに私があるし、私のなかに佛がある。すべての存在のなかに私があるし、私のなかにすべての存在がある。それを受け入れられるか受け入れられないか。それだけ。 それだけですが、私という「我」や「執着」、「赦せない」、「忘れられない」、「こだわっている」、「愛せない(慈悲が無い)」が目の前を暗くする。
 テレビのスイカ割りは、お一人が「私というスイカを探していく」と言って、二度やって見事に二回とも当てていました。同じように、自分探しというのも実は、自他の区別や差別をなくし、平等の境地に立って、そして世界を見渡し、すべてを受け入れた時に、初めて本当の自分に出会うことになると言えるでしょう。
 密教では、大日如来を中心にその境地を見いだしてマンダラで教えてくれています。佛を知ると自分を知ることができるとは、このことです。そして私を真に知ることができれば佛を知り。佛と成る。成佛です。
私とは何か。佛です。 衆生とは何か。佛です。
衆生の心とは菩提心。これが極位でありましょう。
佛から見た世界と、凡夫凡人から見る世界と、両方を知って初めて分かる。これを胎蔵マンダラと金剛界マンダラは教えてくれています。

 さて、いつもは、「自分がやったことが、やったように成ります」とお話しています。そうです。それ以上のことはありません。しかし、私たちは「個」だけで生きていなくて、すべてのものと繋がって生きていますから、それを衆縁(しゅうえん)なんて言い方もしますけど、だから自分の努力だけでは及ばないことも起きてしまう。これがこの世の仕組みであり、成り立ちでしょう。
それを教えているのが一切皆苦(いっさいかいく)という言葉のようです。この世のすべては「苦しみ」という意味ではありません。思い通りにはいかないという意味が本来の意味です。
 だからこそ、私の願いは本来、衆生の願いと共になければならないのです。

今月はこの辺りで。

 令和三年一月二十一日



《ご修行案内》
2月2日(火)「節分祭」※夜のお祭りはありません
 星祭り(星供用)の申込はお早めに。
春まであと少し。新型コロナの感染予防に気をつけていきましょう!。今年は密を避けるために、節分の豆まきはありません。二日の早朝を最後の護摩として焚き、お札のご祈祷を行っていますので、2日以降のよい時間にお詣りしてお札をお持ち帰りください。

7日(日) 「水子供養・地蔵護摩」10時

18日(木) 「三宝荒神供」20時

21日(木)「お大師さま御縁日。お護摩。」
 ①10時 ②20時 どちらかにお詣りください。
   写経奉納。祈願護摩木。先祖供養塔婆。
  ※密を避ける為、午前と夜に護摩を焚きます。

   令和3年1月21日 南無大師遍照金剛ありがとうございます。     


トップページへ

戻る