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つながりを意識して 呼吸する
 

 見事な花桜も散り、私の好きな葉桜が両手をいっぱいにして、太陽を受け止め、水を吸い、躍動している。それを眺めては深呼吸するのが日課の楽しみです。
 
○精神統一をする時にはゆっくりと鼻から息を吸い込み、少し止めて、ゆっくりとまた鼻から吐き出します。細かいテクニックを言えば、顎を引く、舌の先は口の中、上前歯のやや後ろ上側に付けて行います。
 
○疲れた時には背骨から意識して首、身体をまっすぐに伸ばし、口先を小さくしてゆっくりと息を吐き出します。 慌ただしい生活をされている方ならば、まず口先からゆっくり吐き出し、次いで鼻からゆっくりと呼吸をするのが良いでしょう。息は自らの心と書く。
 
 二人三脚や何かを二人以上で行う時などによく、「息を合わせて」と言うように、呼吸はとても大切です。ある方がエベレストに登った時に高山病になった。山に登ると酸素がうすくなって、
地上0mからすれば2000mで78%(石鎚山1982m)、
3000mで68%、 4000mで60%(富士山3776m)、 5000mになると53%と約半分になります。

その方が言われるには、例えるならばずっとストローで息をしないといけない。ずっと酸素が足らない。息をしないといけないと思った瞬間、これまで息することを意識したことなど無かったのでパニックになる。ただ本当は、人間の体は環境に適応できるように出来ている。ただしその境目というものがある。そこを超えられるか、手前で苦しむか。感覚的には細胞がギュッと変わる。そんな感覚がある。慣らしながら登るとか技術的なことも勿論あるけれど、まず安心すること、自分の体を信じることが重要に思う。 このお方は、自分はこのまま死んでしまうと本当に思ったそうです。体よりも先に精神的な限界が来る。苦しくて仕方ない。頭も割れるように痛い。どうして良いか分からず、絶叫した。ただ周りのベテランはこのように教えてくれたという。
「吸う前に吐くんだ! 息を吐かないと吸えないぞ。」
 
なんともこれは本当に当たり前のことですが、どうでしょう。
私たちは一日に何度の呼吸を意識をして行っているでしょうか。
これは豆知識ですが、声を出してオーイと呼ぶように呼が吐くこと。吸が字の如く吸うことです。漢字を見ても呼吸は吐いて吸うことを意味します。日常も同じ。入れる容量があって初めてものが入る。いっぱい、いっぱいでは入らない。
 
 さとりに向かう瞑想法になるとまずは集中力。そして微細な感覚を研ぎ澄ますこと。日々の積み重ねが大切です。仏さま、お大師さまが自分を必ず導いてくれると信じ、今と未来を安心して日々の生活、そして座禅、瞑想の修行を積み重ねましょう。
 
 今月は私のリフレッシュ方法の一つを紹介します。冒頭にある呼吸をまず心得て、自然界に目を向け、呼吸を合わせていきます。草木や花、岩、風、海、山も良いです。そのものと一体になるような呼吸をしていきます。実際に感覚として気付くと良いのですが、科学的にも木々の呼吸と私たち人間、動物はつながっています。海も空も宇宙もつながっています。仏教でいう「縁」ですね。ただ人の心がそれを分けているだけ。

 いい人、悪い人の区別も多くはただ自分にとって都合が良いか悪いかだけではないでしょうか。自然界はありのままに呼吸をしています。意識を向ければ良い先生がいっぱい。母なる大地といいますが、地球はずっと私とあらゆる生命を受け止めてくれています。私を受け止めてくれている、あらゆる存在に感謝です。
心(意識)と身体(細胞)を生かしましょう!



   平成30年4月21日 南無大師遍照金剛ありがとうございます。     


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