「あなたの大切な事とは何ですか?」 −大切な物と大切な事と− | ||
いつの間にか歳の瀬となりました。今年一年が自分にとってどのようなものであったかを振り返り、見つめる、そんな機会を作って頂きたいものです。仏さまの心を知るも、自分の心を読み解くも、それはよくよく見つめる事にあります。 年初めにはよく、「今年一年はこんな年にしよう、こうしたい」とか思うものですが、年の終わりには「はて、どのような年にしたいのであったかな」と忘れてしまっていることが毎年の習いとなってはいませんか?私はどうなのかと言いますと、今年は下積みの年、これから先に必要である事、勉強しなければならない事は一生懸命に行い、人との出会いを大切にし、自分の歩む道の基礎作りができれば良いなと思っていました。がしかし、現実はなかなか思い通りにはいかないな・・・とそんな年でありました。一年はあっと言う間ですね。まぁ、非現実的すぎるとどうかと思いますが、志しは高く大きいのが良いものです。 大切なことは何ですか?という事ですが、現代人は「大切な物」というのは比較的にすぐ頭に浮かぶものですが、「大切な事」となりますと、なかなか頭に浮かばないものだそうでして、ちょっと皆さんで考えてみたいなという訳です。思うに、大切にしている事があるというのは社会に生きる上でとても必要な事ではないでしょうか。もちろん独りよがりな大切なものではありません。人間はよく執着する生きものですから、良くも悪くも大切な物(物質的)は多くあるものですが、大切な事(精神的規範)は意識しなければなかなか持ち得れない。これは知恵と知性が必要ですし、善き事を教えてくれる人がいないとなかなか気付きもできないものです。 先日、ある記事を読んでいますとこのような事が書かれていました。秋葉原の殺傷事件がありましたが、その現場において懸命の救命活動がなされる中、チョーすごいことが起きたと言って、被害にあわれて横たわっている方を何の悪気も無く写真に撮る観客たち。中学生らしき少年たちは祭りが起きた、祭りがと言い、挙句の果てには最高の瞬間を見逃しちゃったと言いながら興奮し、現場に向かっていく。正直、この記事を読んで、どこまで本当なのかは分かりませんが、大きなショックを受けました。また現状、日本という国はこんなに恥ずかしくも心の貧しい国であるのかと悲しく思いました。 「大切な事」って何でしょう。自分だけが楽しく生きることでしょうか。他人の事も思いやれないような人間である事は恥ずかしいことです。子どもをきちんと育てられない社会、環境を傍観していてはいけません。一人一人が、また家族の中で大切な事って何だろうと考えたり、話し合ったりできる。それが自然であり、当たり前である家庭環境を作っていきましょう。来年もより良い年に致しましょう! |
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日切大師弘元寺 平成廿年十二月廿一日 南無大師遍照金剛ありがとうございます。 |