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 「すべてはつながっているのだから」
 
 おもてなしの心がけ。
これはある有名なホテルの接客についての話なのですが…
とある方が教えてくれた。一人のお客様、
「目の前の方」を大切にすることが如何に大切なことなのかという話。

 私たちは遠くにある大きな物ばかりをみて、目の前のことを蔑ろにし、よく失敗をする。あいつはよく分かっていないなと思っていたら、相手側からすればあいつはよく分かっていないと同じように思われていたなどよくあることで、そうやって思い違いが増えてくると自分は何が正しくて、何が間違いなのか、何を間違っていたのか、何を信じれば良いのかが段々と分からなくなってくる。こういうのも一度迷い始めるとなかなか抜け出せないもので、そのような時は
「そもそも自分は何を大切にしているのか」という自覚が非常に重要となる。

 さて接客のお話ですが、ニューヨークに旅行へ来た親子がいた。男の子が、
「お父さん、ニューヨークに来たからスパイダーマンに会えるかな!?」
とホテルの受付で話をしている。 もうお察しがつくでしょうか。
親子がチェックインした後、部屋のベルが鳴る。なんだろう?とドアを開けてみると目の前には飴カゴを持ったスパイダーマンが登場するわけです。これも実はコスチュームがそもそも用意されていたものではなく、家族の話を耳にしたボーイさんが男の子を喜ばせようと思い、スパイダーマンの服を走って買いに行き登場したという話です。
しかしそんな背景などは勿論この親子に知るよしもなく、評価されもしないところですが、親子がとても大喜びしたことだけは事実。間違いのないことでした。父親からすれば、自分の可愛いわが子のためにここまでしてくれるホテルを賞賛せずにはいられません。結果、このホテルに対する評価はぐんぐん上がっていったそうですが、評価されるためだけではなく、
「目の前の人を大切にすること、喜んでもらいたい」という動機が何よりも大切だということ。普段からそのような自分の心を育てておくことが相手をしあわせにし、ひいては自分をしあわせにするということです。

 つまりこのお話し、だいたい人間は親しい人から知人まで200人ぐらいとつながっていて、皆が感動するようなストーリーだと200人が200人へ伝えたら4000人へとつながる。
「目の前のひとりを大切にするということは4000人を感動させることと一緒なんだ」ということを自覚して働いて欲しい。という話でした。 

仏教でも「空」の理解のなかで、
すべてはつながっている(原因と結果で、縁起によって存在している)と教えてくれます。

 私たちは自分の都合でものごとを 切り 、 貼り、しますし、
ひとつの言葉、行動が大きなエネルギーであることにも普段気付けません。
最大限の効果が発揮されるにはどうしたら良いのかというと、少なくとも自分のことだけで完結するのではなく、誰か一人でも他人のために考えたり、行動したりすることが重要。そうやって自分のしあわせを完成させるのが世の中の理(道理)にかなっていて、菩薩さまの生き方が実はそうである。「すべてはつながっているのだから」と仏さまは悟られたからです。

 ちなみに一生の間に出会う人の数は5000人。何らかの接点を持つ数が30000人。
親しく会話をする数が300人。友人は30人。色んな算出があるようですが、こういった数を目の前にすると、誰の顔が浮かぶでしょうか。そうしてどんなに頑張っても大切にできる人の数は限られている。ですから目の前の小さなことを大切にすること。好きとか嫌いとか関係なく、ひとりの人を大切にすること。その積みかさねを大切にしたいものです。

   日切大師弘元寺 令和元年六月廿一日


《今月のひとこと》
「三人のともだちに嫌われました。」
「だいじょうぶ。あと世のなかには七十六億人が
あなたを待っているよ」


《 六、七月 お祈り・行事案内》
23日(日)「三宝荒神」20時
28日 伝法潅頂 ※非公開
29日 新阿闍梨 お披露目 朝7時です

29 、 30日「結縁潅頂(けちえんかんじょう)」

7月3日(水)「毘沙門天」 朝5時半
5日(金)「三宝荒神」20時
7日(日)「水子さま/地蔵護摩」10時
21日(日)「大師縁日の護摩」 20時 写経奉納・月参り日
25日(木)「大黒天」 23時

27日(土)「瓜封(うりふう)じ」 10時 夏の厄払い・病気平癒 

31日(水)「弁才天護摩」20時


《 お知らせ 》
 毎年、夏の土用に行われる「瓜封じ」はキュウリ封じとも言われ、弘法大師の頃より盛んに行われてきたと。病気や悪い癖をキュウリに封じ込め、さすったり、握ったりして、数日してから流したり、土に埋めたりします。

今年も暑い夏を乗り切りましょう!


   令和元年6月21日 南無大師遍照金剛ありがとうございます。     


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